一筋の光明?

2018年7月7日(土)のこと。
私が癌難民と化して、ほぼ一週間が経過。
北海道内ではひと月遅れで来月のことになるが、道外のほとんどの地方が今日は七夕。
う~ん、あまり季節の行事ごとは、今の私にはあまり関心の持てることではない。
ただ、少しでも気分転換を!とのことから、できるだけ世の流れを意識する努力はしようとは思うところである。
特に何をするわけでもないのだが、私の今の現状では、もしかしたら私に来年はないのかもしれない。
これから体験するすべての出来事は、私の生涯で最後のことになるという可能性が高いのだ。
時の流れや季節の移り変わりも大切にし、よくこの眼に焼き付けておこうと思う。

さて・・・・・。
相変わらず、私の今後については、何も先が見えない。
今日はいつもの温熱療法のHW病院。
いつも、この温熱療法についてはあまり細かくは取り上げてはいないが、昨年の一か月入院、今年の一週間入院の期間を除いて、ほぼ毎週土曜日に治療をずっと継続してきている。
効果のほどはイマイチ定かではないのだが、一回につき40分の温熱照射。
以前にも述べているが、これが結構、熱くて、その日の体調によってはかなり辛い時がある。
そして、この治療にも約一月に一度くらいの割合で、担当医の診察がある。
ここでの私の担当医は、前にも少し登場してきているA医師という人。

このA医師。
態度が横柄というわけでもないのだが、椅子に浅く腰掛け、腹を突き出した姿勢で、結構、ため口を当たり前のように使う。
年齢は私より、ちょっとだけ年下かな。
ややだらしなく見えて、最初はあまり安心感や信頼感を感じる人ではなかったが、これはA医師の方もそうなのかもしれないけれども、お互いに慣れてくると、意外にフランクに話ができるという良い側面も持っている。
ただ、残念ながら、このA医師、この8月でここの病院を退職してしまうという。

今日は、その月一回の診察日。
HW病院へ到着し、受付を済ますと、特に検査もなくいきなり診察室の前で待つという流れ。
温熱治療はこの診察の後に行うというのが、いつもの流れなのだ。
しばらく待って、診察室に呼ばれる。
この日は家内も同伴。
いつもは私一人なので、家内が同伴していることで、A医師も一瞬、緊張したみたい。

まずは、毎度お決まりの、A医師の「どうですか・・・・・」という質問から。
実は私、ここの病院でのこの質問に、いつも結構困ってしまう。
この「どうですか?」については、温熱治療のことに関しての「どうですか?」なのか、癌の症状全体のことについてのことなのかの判断に困るのだ。
一応、ここは温熱治療という専門治療だけをお願いしているというスタンス。
ただ、今の私は状況が状況なこともあり、今のこの癌難民になった経緯、KY病院M医師の診察内容についてのすべてを話した。
今の私には、ここのA医師くらいにしか、話を聞いてもらえるところがない。

さすがに話を聞いた後は、このA医師の表情も曇り、「う~ん、打つ手がないって言われても、困っちゃいますね・・・・・」との返答。
しばらく考えた後、「うちで抗がん剤、処方しましょうか?」とのこと。
私も家内も「へっ!?」というリアクション。
「見たところ、まだ〇〇さん(私の名)の顔色も体調も良さそうだし、私はもう少し続けてもいいかなと思います」とのこと。

一瞬、あのグラフでの数値上昇の傾向が頭をよぎり、抗がん剤が効いていないというM医師の判断自体には私は正直なところ、悲しいけれども認めざるを得ないとも思ってもいる。
そして、このまま継続しても良いことはないだろうという判断にもおおむね同意だ。

私としても、事実は事実として認める度量はあるつもり。
ただ、何が衝撃だったかというと、あっけなく切り離されたようなあの言われようについてのことなのだ。
そう考えると、M医師の主張自体には納得感はあるものの、確かにA医師の言うように、私の今の体調は今のところ、まったくもって元気そのものである。
理論上はM医師の判断が正しいとしても、患者としての納得感はそれはまた別のもの。
このA医師の対応によって、瞬時に私の頭の中では様々な想いが駆け巡り、同時に情報の整理も成された気分。

続けて、A医師は「KY病院には内緒で・・・・ということで。あっ、いや、知られてもいいんですけれども、変な軋轢もあっては 〇〇さん(私の名)もお困りになるでしょうし・・・・・」と。
これには私も納得。
そして、ここの病院で以前と同じく内服の抗がん剤(エスワンタイホウ)を処方してもらうことにした。

そしてA医師、KY病院のM医師をこう評する。
「その先生の言っていることは、医学界の見解としては極めてスタンダードで、当院でもやはり同じ判断をするかもしれません」とのこと。
「陽子線についても、理論と現実は違うので、いくらやっても癌細胞が全身に拡散してしまっていたら、効果はないと判断するのは自然でしょう」とも。
さらに、「その先生は当院の温熱療法にも理解があるということなので、良い先生のようにも思えます。ある病院では温熱をやったというだけで、診察を拒否するという先生もいます、懐の深い先生だと思いますよ」と。

「おいおい、あっちの味方かよ・・・・・」と、一瞬、思ったが、次の一言で救われる。
「ただ、同じものを言うにしても、タイミングとか言い方というのは確かにあって、それはもう、人としてどうかという問題ですね」とも。
私も「なんというかM医師のキャラクターの質についても色々とあると思います」と言葉を重ねると、思わずA医師も苦笑い。
「やはり、言われた側としては、途方に暮れてしまいます」という言葉にも、首を大きく縦に振り同意される。

このA医師、意外と、こんなに私と感覚的に共感性のある人だったのかと、今の今まで気が付かなかった。
いずれにしても、例え動かざる事実が目の前にあるにしても、その医師のたった一言の言葉で、患者は死んでしまうし、逆に活力を見出すこともできるという体験を私は身をもって知った。

正直なところ、私はこの抗がん剤内服薬の処方を再開しても、結果はM医師の言う通りだと思う。
ただ、患者やその家族の気持ちって、そういうことだけではない。
頼みの綱を冷酷無比に断ち切られるというのも、病気の進行以上にダメージになるということ。
そう・・・・・・。
人は理屈や理論だけで生きるにあらず!!なのだと思う。

とりあえず診察を終え、本日の温熱治療を済まし、最後に薬局で抗がん剤内服薬を受け取る。
会計は家内に任せたが、随分と薬代が高いと、家内が閉口している。
これは後で気が付いたことだが、温熱療法は保険外診療。
保険診療と保険外診療を同一病院では原則できないということらしいのだ。
そのため、ここでの処方は保険外診療とみなされるため、そのような請求になるということを知った。
これもまた、いい勉強になった。

さて、今日は予想だにしない展開で、一時の心の平安を得られた。
しかし、現実的にあのグラフが示す腫瘍マーカーの上がり方を考えると、今回のこの処置はあくまで精神的な安堵感を、文字通り一時的に得ただけに過ぎず、ある意味、時間稼ぎにしか過ぎないというのが実際のところであろう。
この後は、やはり患者自身が何かを考えなければならないのは事実。
でも、抜本的な対策が見えない今、まだまだ癌難民としての漂流は続きそうでもある・・・・・・。
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テーマ : 末期がんの闘病記
ジャンル : 心と身体

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プロフィール

North Wind

Author:North Wind
生年月日:1962年2月21日
性別:男
家族:妻、息子(独立済み)、わんこ(パピヨン2頭)
北海道札幌市在住

2015年12月21日。
年末の慌ただしい中、肝内胆管細胞がん(胆のうがん)、肝臓に10cm大の腫瘍、リンパ節転移、肺転移によりステージⅣと診断されました。
手術、放射線治療は不可とのことで、余命3ヶ月~半年との宣告を受ける。

しかし、2018年現在・・・・・。
抗癌剤治療にて仕事も、なんとか正常に継続し、今のところ生存しています。

追記1:2018.6.29
ここまで順調に癌の進行を抑えていましたが、とうとう腫瘍マーカーの急上昇、肺転移、肝臓中心部にも新たな腫瘍が発見されました。
最後の手段だった内服の抗癌剤の効果なしと判断され、もはや打つ手はなしと宣告されました。


追記2:2019.2.18
色々と手を尽くしてきましたが、いよいよもって『終わりの始まり編』に入ってきたようです。
大変、悔しく、断腸の想いでもありましたが仕事も退職しました。
これから、どんどん衰弱は進むでしょうが、最後の最後までこのブログは続けていこうと思っています。


どこまでできるかわかりませんが、癌と共に生きる、そして働くということ、癌になってわかったこと、学んだこと、そして私の生き様を記録に残していきたいと思います。

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