思いもよらず良書と遭遇!!この積み重ねが患者力会得への道となるのか?

2018年7月12日(木)のこと。
患者力・・・・・・・。
前稿で取り上げさせていただいた、故山下弘子さんの基調講演を再視聴して以来、やたらとこの言葉が耳に残っている。
ただ、明快な自分自身の対処としては、まだまだ何かが見えてきているという状態ではない。

しかし、現在、気休めに何気なく読んでいる本から少しずつ、今更ながら新たな知識が脳内に入り混んできていることが実感され、もしかしたらこれが患者力の源になるのかも?と思えてきた。
やはり、何をするにも知識が要になるのかな。
そんな当たり前のことが、今更ながら実感してきた。

それは、ちょっと前に、家内から「この本読んだら!?」と、ネットで注文され、半ば押し付けられるように手渡された本。
それが、以下に紹介する『このまま死んでる場合じゃない!!』という、結構、インパクトの大きいタイトルの本。
内容的には、この手の本でよくある『生存率0%からの奇跡の復活・・・・・』とかいうような、なんともなキャッチフレーズが帯に表示されている。
私は、余命宣告された末期がん患者でありながらも、この手の売り文句には、きわめて懐疑的に身構えてしまう
現実には、私にも最初に告げられた余命期間をはるかに超えて今があるという、ある意味、その奇跡にもあやかっている身ではあるものの、ここまでの極端な奇跡は本当に運命のいたずら的に、ある種の限られた人間にのみ起こる現象だと思ってしまう。

それでも、打つ手が何もなくなったという今の私には、ただただ指をくわえて死を迎えざるを得ないという、この状況へのささやかな抵抗として、また、とりあえずは家内の手前もあるため、一通り目を通してみようと読み始めていた。

《表紙と帯(表)》《表紙と帯(裏)》


















ところが・・・・・・。
読んでみると、どうしてどうして、今の私にとっては、なかなかのタイムリーなテーマであり、その内容も充実度が高く、私にとっては必読の書ともいうべきレベルの本であったことに驚かされる。
この手の本は、よく気をつけないと、ただの広告本、著者の事業活動としての販促ツールに成り下がってしまっている品のないものがよくある。
しかし、この本にはそういった商売っ気がまったく感じられず、この医師の考えと患者が体験した闘病、そしてこの二人の信頼関係があるからこその、純粋に世に知らしめたいことを主張するという意図のもとにまとめられているところが好感の持てるポイント。

この本のザックリとした内容は、とある末期の女性癌患者が紆余曲折の中、ある女性医師と出会い、その独創的な治療法を受けたことにより、まさに奇跡の復活を遂げたということがこの本の根っこにあるベース。
よくありそうといえば、ありそうな内容でもあるが、ちょっと変わっているのが、全編にわたって、その患者と医師の当事者同士の実にフランクな対談という形式で全編にわたってまとめられていること。
そのためか、結構、重い話であったり、難解なテーマ、専門的な医学知識にいたっても、あまり構えず気楽に読めて、すごくわかりやすい内容の情報発信として成功している。

主なテーマとして、

・今の医学界全般の癌治療への一般的な考え方
・この医師が、この独自の治療法に踏み切っている理由
・癌という細胞の特質や性質
・抗がん剤のこと、化学療法の効果や是非について
・現場の医師たちの様々な考え方
・事業としてみた医療のあり方
・患者としての意識の持ち方
 ・・・・・・・等々

といった、一見すると難解そうで複雑なテーマがずらりと並んでいるが、この医師のその軽やかな語り口や、素直に疑問を口にする患者との対話から、素人にもすんなりと頭に入ってくる内容となっており、思えば一冊の本でこれだけの内容をまとめているのはそうそうないのではなかろうかと思えてしまう。

特に標準治療と言っても、なぜこんな制度が出来てきたのか、標準治療の全てが悪なのかというところは、標準治療から見放された癌患者当事者の私としても、これはかなりの注目の内容であった。
せっかくなので、不祥ながら私が簡潔にまとめると、ご存知のように、標準治療とは手術放射線治療化学療法(抗がん剤治療)の三本立て。
今後は、一部の免疫療法もこの中に入ってくるやもしれないが、少なくても現時点での定義はこの三つ。
私のように、この標準治療での限界を宣告されてしまうと、本当に身もふたもなく、一般的にはいわゆる癌難民と称される。

この標準治療が可能かどうかのボーダーは、末期がん患者にとっては、実に嫌なハードルとなっているのが実態なのだが、本来は地域によっての治療格差をなくすことや、医師個人の治療哲学によって医療サービスに偏りが出ないようにと、一定の治療水準を公に定めて、文字通り標準的な治療方法を、誰でも、どこに住んでいても、どんな医師にかかっていても、公平に一定の治療が受けられるようにということからきているという。

そう、もともとは治療に高度な医療技術や判断を要するこの病気に対して、なんとか安心・安定の治療を世に普及、定着させるという、誠に善発想から始まった基準ということのようなのである。
では、なぜこの治療からあぶれてしまうことや、そもそものこの標準療法そのものについて、嫌なイメージがまとわりついているのだろうか。
それは、私の私見だが、最初に定義した時のエビデンス優先主義が、今の時代の現実の実態とかけ離れていて、それを補正する仕組み脆弱であるということだと思う。

それと、世の中が実に複雑な意識社会になったことも、それを後押ししているような気もする。
例えば・・・・・。
治療がうまくいかず最悪の結果になった時に、患者の家族から訴訟となるケースも珍しくもない。
頼っている時は猫のように大人しい家族も、思うような結果にならなかった時はすぐさま虎に変身するのは、なにも医療の世界に限ったことではない。
いくら事前に同意書を取っていても、そんなものは怒りの感情に支配された人々にはさほどの効力はない。
人間の怖さはここにある。
そうした時に、この標準治療も医療サイドとしては、『公にお墨付きの標準の治療を施していた、これ以上もこれ以下もない』という免罪符になるという効果があるようだ。
医療事業も普通の企業と同じように、コンプライアンスの観点を考えた場合、客観的に捉えて、この訴訟社会という現実に対しては、これも致し方がないこととも思える。
でもここが、この標準治療を超えることや、異を唱える治療に対して、消極的・否定的・嫌悪を示す医師たちが生まれることにもなるということ。
これが実に根深い問題であって、私も一患者ということを離れて、客観的に全体を俯瞰で眺めてみても、この奥底には人間としての業のようなものが隠れていて、簡単に解決の糸口が見いだされる問題ではないように思える。

また、この本の中で、この女医は極端にこの標準治療をムダと否定する説に対しても、非常に客観的な見解を述べている。
この説にいたずらに同調するのでもなく、真っ向から対立姿勢を取るわけでもなく、あくまで医療界の議論に固執するのではなく、患者の立場・視点で向き合うという姿勢は、我々、患者たちにとっては、非常にありがたい考え方でもある。
医療技術、制度、事業、医療従事者たちのイデオロギーが渦巻く中で、何が重要かというところで、我々、患者たちに主眼を置いている医師が、映画やドラマの中の存在だけではなく、現実に存在しているということがわかっただけでもこの本の価値はあるのかもしれない。

それから、遠隔転移が一か所でもあったら即、全身転移という考え方にも、この本に登場している女医は異論を唱える。
私も初めて目にした言葉だがオリゴメタ(少数転移)という考え方。
世界中の学者や関係者達が机上でデーターを搔き集めて作り上げた根拠を、エビデンスとして錦の旗のように医療業界を大手を振ってまかり通っている現状に警鐘を鳴らしてもいる。
この女医によると、今、目の前で起きている現実、日本人の体質、日本人独特の、いやその個人独自の食生活や生活文化、その人の価値観、その人固有に生じている癌の影響を顧みず、世界中の人を十把一絡げに機械的・化学的・統計学的に分析しだだけで、人の命に係わる指標を作っていいものかとの考えをお持ちである。
私は、医学的にはまったくの素人のため、この主張が正しいのかどうかはわからない。
ただ、常日頃、どこの病院でも聞かされていた、説明(理論?)以外にも、こういう違った見方・考え方・実例があるというのには目が覚める想いであった。

それと、この本の中には、私が初めて目にする治療法の名前があった。
それは重粒子線治療動注療法といった治療法。
重粒子線治療については、保険対象外で、よほどしっかりした生命保険に入っていないと現実的には無理かな・・・・という印象。
しかし、動注療法については、わりと治療法としては親近感がある。
ざっくりいうと、長い針で病巣を直接突き刺して、薬剤を打つという方法。
これは、オリゴメタ説が前提ではあるのだが、かなり興味を惹かれるものもあり、私の住んでいる市内で、この治療法をやっているところがないか?とすぐにスマホで調べると、なんと、2つの病院が検索されてきた。
すぐさま、家内にも連絡。
詳しく調べてみるとのこと。

ふ~む・・・・・・。
なんと、この本で得た知識から、現実の行動につながりそう・・・・・。
ここで私が紹介したこの本の内容は、まだまだ、さわりの部分ではあるものの、癌患者とその家族の方々に、私がなにか本を薦めるとしたら、迷わずこの一冊を選択するであろうか。
私の場合は、この本を読んですぐさま、この先生のところに飛んで行って診てもらおうという気は、残念ながらサラサラ起きはしなかった。
ただ、これは私の場合のことで、ご自身が納得するのなら頼ってみてもいいのかもしれない。
それよりも、私が特筆したいのは、癌という病気の特性、医療の世界、医師たちの価値観、薬への期待される部分と限界、保健制度、癌患者の感情等々といった、かなり広範囲にわたる内容が、もちろん専門書ほどではないにしても、素人にとって色々な角度から全容を知るにあたっては、充分な情報量があったといういこと。

読み終えた私の感想としては、この投稿の冒頭で『知識が患者力の源になるのでは?』と述べさせてもらったが、まさにそれを実感するところ。
後は、ほんのちょっとの行動力があれば、その患者力というものが効力を発揮するのではなかろうか。

しかし、先の山下弘子さんの基調講演といい、この本といい、私の今後の方向として『やってみるべき!!』ということが幾分見えてきた気がするし、私の心にその力が沸いてきたような感覚が芽生えた。
これがきっと、患者力というものなのだろうか・・・・・。

もしそうなら、この本と出合えたことと、この患者力というキーワードのきっかけを与えてくれた山下弘子さん、ご逝去されて尚、その影響力を人々に力を与えているというこの事実には、本当に心の底から感謝を飛び越え、畏敬の念すら覚えるのみ。
私の、この今の現状に、天から救いの手が降りて来たようだ。
にほんブログ村 病気ブログ 末期がんへ
にほんブログ村

テーマ : 末期がんの闘病記
ジャンル : 心と身体

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

North Wind

Author:North Wind
生年月日:1962年2月21日
性別:男
家族:妻、息子(独立済み)、わんこ(パピヨン2頭)
北海道札幌市在住

2015年12月21日。
年末の慌ただしい中、肝内胆管細胞がん(胆のうがん)、肝臓に10cm大の腫瘍、リンパ節転移、肺転移によりステージⅣと診断されました。
手術、放射線治療は不可とのことで、余命3ヶ月~半年との宣告を受ける。

しかし、2018年現在・・・・・。
抗癌剤治療にて仕事も、なんとか正常に継続し、今のところ生存しています。

追記1:2018.6.29
ここまで順調に癌の進行を抑えていましたが、とうとう腫瘍マーカーの急上昇、肺転移、肝臓中心部にも新たな腫瘍が発見されました。
最後の手段だった内服の抗癌剤の効果なしと判断され、もはや打つ手はなしと宣告されました。


追記2:2019.2.18
色々と手を尽くしてきましたが、いよいよもって『終わりの始まり編』に入ってきたようです。
大変、悔しく、断腸の想いでもありましたが仕事も退職しました。
これから、どんどん衰弱は進むでしょうが、最後の最後までこのブログは続けていこうと思っています。


どこまでできるかわかりませんが、癌と共に生きる、そして働くということ、癌になってわかったこと、学んだこと、そして私の生き様を記録に残していきたいと思います。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
リンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR